
2023年も残り1ヶ月となり、いよいよ2024年が近づくなかで、今回はトラボック代表取締役社長の皆川拓也に2024年問題を乗り越える解決策の一つとして有効な手段とされている「マッチング・シェアリングサービス」について解説いただきました。
2024年問題とは、ドライバーの労働時間に制限がかけられ移動距離が短くなることです。これまで1つの運行で完結出来ていた長距離案件などが運べなくなり、中継地点を作って運ぶ必要があると言われています。マクロの視点でみると、日本全体のドライバーの総労働時間が減ることになりNX総合研究所の試算では、2024年問題以降、約14%の荷物が運べなくなり、2030年には運べなくなる荷物は約34%に拡大すると予測しています。
このような状況に陥る原因に、今の運行体制や管理方法に無駄な部分や非効率な部分があることが考えられます。運行管理や運行体制において全体最適や効率的な体制にもっていく際に有効な手段として、マッチング・シェアリングサービス(シェアリングエコノミー)があります。実際に、政府が公布している「総合物流施策大綱と物流標準化について」や「物流革新に向けた政策パッケージ」の中でも物流のデジタル化の主な取り組みとして、荷物とトラック・倉庫のマッチングシステムの活用による物流リソースの活用の最大化と記載されています。

シェアリング・エコノミーとは、個人や法人が保有する遊休資産(時間やスキルのような無形のものも含む)の貸し出しを仲介するサービスのことです。貸主は遊休資産の貸し出しによる収入が得られ、借主は所有することなく比較的リーズナブルにサービスやモノの利用ができるというメリットがあります。
シェアリングエコノミーが世界中に広まったきっかけは、アメリカで誕生した民泊サービスと言われている。2000年代後半に、AirbnbやUberが流行し始めた影響で、宿泊や移動手段を大きく変えました。インターネットの登場で変わり始めていた旅行手配の手法に大きな変革を及ぼす決定打となり、昔は団体旅行が主だった日本の旅の形は個人手配が8割占めるようになり、ユーザーの行動変容を起こしました。
日本では2015年がシェアリングエコノミー元年と言われており国内でも様々なサービスが普及してきました。今までのサービスとは違い、個人や企業の遊休資産の利活用というのが大きく、SNSなどのインターネットによる文化の浸透や所有に対する価値観の変化も、シェアリングエコノミーが注目される一因となりました。
また、この仕組みが普及するためには「保有資産のリアルタイム状況の見える化」「信用」「ルール」が必要となります。これがスマートフォンと巨大プラットフォーマーの登場により成立しました。信用形成に関しては、プラットフォーマーの提供する相互評価(口コミ)により成立します。また信用形成の補てんや担保するための仲介サービスや、ソーシャルメディアを活用したコミュニティ機能が活用されることでシェアリングの成立を後押ししています。
全世界の市場規模としては、2013年に約1兆8000億円から、2025年には約40兆円になると見込まれており日本の市場規模だけでも2021年で2兆4,198億円、2030年には14兆2,799億円に拡大する見込みです。
-運送領域におけるマッチングサービス 求荷求車
運送業界には古くから求荷求車と呼ばれるマッチングが商習慣として根付いています。このサービスは大きく二つに分類されます。探している相手が見つかることに特化して運行には関わらない掲示板型と運行を請け負う形でマッチングさせる利用運送型があります。インターネットを主とした求荷求車でいうと、トラボックスは前者の掲示板型であり、ハコベルやPickgoは後者の利用運送型となります。
-倉庫領域におけるマッチング・シェアリングサービス
倉庫領域におけるサービスとしては、事業者同士で倉庫をシェアするというサービスや倉庫利用希望者と所有者のマッチングを行うサービスなどが挙げられます。例にあげると、日立物流のSMART WAREHOUSEが特定の事業者どうしで倉庫をシェアするサービスであり、イーソーコ、souco、WareXなどが倉庫利用希望者と所有者のマッチングサービスとなります。
-運送x倉庫の組み合わせによる可能性
一時的にストックできる場所と自由な移動手段が組み合わさると行動変容が起きやすくなります。「オンデマンド倉庫」と「求荷求車」が合わさると業界が変わる可能性があります。ただこの行動変容が変わるためにはスマホの代わりとなるDXが必要になり、国がルールをどんどん整備しているいま、プラットフォーマーが必要になると考えられていて、そこに我々トラボックスが関係できればと考えている。

最後に、この物流業界は時代の流れによりこれから大きな変革が必要となるタイミングになります。人手不足など根本的な問題は2024年で終わるのではなく、現状の課題を解決しなければこれからもずっと続くことになります。
国が旗をふって変えようとしている今、まさに業界の主役である企業も変わっていかなければなりません。課題を可能性に変えてチャレンジしていけばもっと良くなるはずです。日本の物流は伸び代が大きいと言われています。私たちはそこにしっかりと伴走したいと思っています。一朝一夕で解決できる問題でもないので、10年・20年と長いスパンで考えて取り組んでいきたいと思います。そして1社でできることは限られているので、業界を良くしていく仲間と積極的に協業して乗り越えていきたいと思っています。
プロフィール
トラボックス株式会社
代表取締役社長 皆川 拓也(みながわ たくや)
2005年日本大学法学部卒業後、KDDI株式会社に入社。 2014年より新規事業部門にてスタートアップ支援プログラム「KDDI ∞ Labo」の企画・運営を統括。 2018年よりCBcloud株式会社に取締役として参画後、軽貨物配送業界の変革を進めるため様々な業種の企業とのアライアンスを実現、その後KDDIを経て2022年トラボックス株式会社入社後、事業部長などを歴任し、2023年5月より現職に就任。